自社製品やサービスの認知度を高める手法として、コンテンツマーケティングを導入する企業が増えています。
アメリカでは約9割以上の企業が、コンテンツマーケティングを活用しているというデータもあります。
日本でも様々な企業が導入し、すでに成功事例も多く出ている一方で、「コンテンツマーケティングって何?」「自社に効果的な導入方法は?「何から初めていいかわからない」と頭を抱えている担当者も少なくありません。
そこでこの記事では、コンテンツマーケティングの基礎知識から重要性、効果的な手法・手順を解説します。
5分で読めるようにまとめていますので、これからコンテンツマーケティングの導入を考えている方は、ぜひ目を通してみてください。
コンテンツマーケティングとは?意味、定義をわかりやすく解説
コンテンツマーケティングとは、コンテンツ(情報)を用いた戦略的なマーケティング活動です。ターゲットのニーズに合う情報を提供し、見込み客のファン化、新規顧客の集客や既存顧客へのアフターフォローなどにつなげる目的があります。
コンテンツマーケティングは、SEOに特化したWEBのコンテンツを増やして集客につなげることをイメージしがちですが、それは1つの手法でしかありません。
メルマガやSNSなどを運用、製品をPRしないオウンドメディアや雑誌を発行することで購買につなげる方法もあります。
例えば、クレジットカードの情報誌です。魅力的な旅の様子を綴ることで、読者は「旅に出たい」と思います。実際に顧客が「旅へ出る」という行動を起こす時、自社のクレジットカードを使う可能性は高くなるでしょう。このように、まだ顕在化していない顧客に対し、製品を直接PRせず、いかに自社製品やサービスを一番に想起させることができるか?がコンテンツマーケティングの定義です。
コンテンツマーケティングの目的・役割
コンテンツマーケティングの目的は、主に以下の3つです。
自社を知ってもらい新規顧客をファン化
コンテンツマーケティングは、オウンドメディアやWEBサイトのコンテンツを通じて、まだ自社を知らない層へのアプローチが可能です。
検索エンジンやSNSを活用し、高品質なコンテンツを提供し続けることで、潜在顧客がファン化し企業への信頼や安心感が高まります。
このように、コンテンツを通して、自社製品の認知度を上げ、顧客と良好なコミュニケーションを図ることを目的としています。
購入時、自社製品を想起してもらう
オウンドメディアやSNS投稿でファンになってもらった層には、行動を起こす時自社製品を想起してもらう可能性が高いです。
例えば、日本ハムが運営する、食物アレルギーネットというサイトでは、食物アレルギーについての情報やレシピを掲載しています。
食物アレルギーに悩む方は、このサイトで安心レシピやアレルギーとの付き合い方を学べますが、レシピに使われている食品は、アレルギー対応した日本ハムの商品です。
実際にレシピを試してみようと思えば、日本ハムの食物アレルギー対応食品を購入する確率がかなり高くなるでしょう。
このように、コンテンツを通じて、顧客が行動を起こす時、自社製品を選んでもらうことが目的です。
既存顧客へのアフターフォロー
コンテンツマーケティングの目的には、新規顧客だけではなく既存顧客へのアフターフォローも含まれます。
すでに購入済みの製品のお役立ち情報や、応用などを提供すればリピートにつながります。
他にも、多くの顧客が疑問に持つようなトピックをお客様の声やQ&Aとして掲載することで、顧客が問い合わせをする手間を省けます。
購入後もコンテンツを通してフォローを続けることで、顧客ロイヤリティが向上します。
従来の広告やマーケティングとの違い
従来のマーケティングや広告では、企業が伝えたい情報を配信する方法(アウトバウンドマーケティング)でした。
例えば、テレビコマーシャルやWEB上の広告、SNSでの広告もそうです。企業が伝えたいことをターゲット層にアピールします。コンテンツマーケティングでは、ターゲット層が求める情報を提供するインバウンドマーケティングです。
マーケティングの種類 | コンテンツマーケティング | 従来のマーケティング |
発信内容 | ユーザーが知りたい情報 | 企業が伝えたい情報 |
例 | 〇〇の効果的な使い方 解説動画〇〇を使った簡単レシピ集 着用動画やコーディネートの仕方 | 新製品が出ました安くなりました 新色が出ましたただいまキャンペーン中です |
コンテンツマーケティングでは、自社に訪問してもらうことを重要視するため、消費者は売られている感がなくストレスもありません。
価値ある情報を受け取っているうちにファンになり、いつの間にか製品や会社名に好印象を抱いていきます。
消費者の購買行動による変化
ネット社会の現代では、消費者の購買行動も大きく変化しています。
2011年にGoogleが表明した、デジタル時代の新たな購買の意思決定モデルZMOTをご存知でしょうか?
ZMOTとは、Zero Moment of Truthの略で日本語では「ゼロの真実の瞬間」です。
消費者は、何かを購入・利用する前には、製品の情報や最安値、使い方・口コミ評価をネットで検索し情報収集した上で、意思決定するようになっています。この今や当たり前の行動がZMOTの理論です。
ネット上の情報が、購入や利用に直接つながることが多く、売り上げや利益に大きな影響を及ぼします。オウンドメディアなどで、事例や体験談、レビュー、比較記事を提供すれば購入の後押しになることがわかっています。
インターネットが普及してから情報が湯水のように流れ、消費者も必要な情報を選ぶようになりました。自分が知りたい情報以外はスルーするため、広告効果がなかなか見込めず、さらに他社との製品比較で売り上げ減少に悩む企業も少なくありません。
コンテンツマーケティングの施策は、消費者が「知りたい」「欲しい」と思う情報の提供ですから、現代の傾向と相性が良いマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングには3つのメリットがあります。
顧客と信頼関係が築け購買行動につながりやすい
コンテンツマーケティングは、ユーザーに高品質な記事を提供し、潜在顧客や見込み客をファン化することで購買行動につなげるマーケティングです。
商品やサービスに関連するキーワードでコンテンツを制作し、検索エンジンから検索するユーザーに見つけてもらいます。
まだ顧客になっていない潜在層にもアプローチできますし、記事の質が高ければユーザーからの評価も高くなるでしょう。
コンテンツを通じて、顧客と信頼関係を築き、収益を獲得できます。
低予算でスタートできる
メディアを用意して価値ある記事を投稿する王道の方法は、低予算で導入できます。
もちろん、外部に依頼することになれば費用はかかりますが、制作費以外のコストはかかりませんので、費用対効果も大きい手法です。
コンテンツマーケティングは、効果が出るまで時間がかかりますし、失敗することも少なくありません。少ない予算からスタートし、反応を見ながら進めていけるので低リスクです。
効果が長期的に続く
一度提供したコンテンツは、メディア内に残ります。時間が経った記事でも、世間の流行やトレンドに乗り、SNSなどで拡散されることも多いです。
長期的な集客が期待できますので、この辺りもメリットです。定期的に有益なコンテンツを配信していけば、ドメイン力も強くなりサイト自体の評価も上がります。
サイトの評価が高まれば、検索エンジンの上位に表示されやすくなり、検索流入からのアクセスも見込めるでしょう。
コンテンツマーケティングの重要性
コンテンツマーケティングの重要性は2つあります。
SEOだけに頼らないマーケティング
1つは、SEOだけに頼らないマーケティングということです。
以前までは、SEOを意識した記事を書くことで検索順位を上げ、アクセスを集める手法が主流でした。しかしGoogleのアップデートにより検索順位が大きく変わることも頻繁にあり、SEOだけでは安定した収益が得られなくなりました。
コンテンツマーケティングでは、SEOを意識したコンテンツの作成は1つの手法です。
それより、ターゲットに刺さる優良な情報を提供し続けることが信頼となり、顧客獲得につながります。さらに、共感を得た記事はSNSで拡散され、多くのコンバージョンを期待できます。
価値ある記事を提供することは、長期的な効果を生み、SEOに頼らなくても集客やファン化につながる導線が確保できます。
ユーザーと良好な関係を築ける
2つ目の重要性は、ユーザーと良好な関係を築けることです。
以前までは、大量の広告で露出、派手なキャッチコピーが目立つページビュー主義が主流でした。しかし、現在は多くの人がネット広告を嫌いしつこいアピールに不快感を現しています。
高い広告を出しても効果がなく、広告費の回収ができない企業も増えています。
そんな中、ユーザーが欲しい優良情報を提供するコンテンツマーケティングは見込み客と良好な関係を築くコミュニケーションの1つとなっています。
価値の低いコンテンツを提供し続けるのは、ユーザーの心が離れる原因になりますので注意が必要です。
自社の強みをコンテンツに活かせる
マイナーな業界や、ニッチな製品を扱う企業は「うちが記事を書いて誰が読むの?」と消極的です。しかし、ニッチな企業こそ、読者の心に刺さる情報を発信できることがあります。
マイナーな業界や、ニッチな製品は、そもそもネット上に情報があまりありません。競合が少ないため、サイトを立ち上げて情報発信するだけで、他社と差別化になるのです。
コンテンツマーケティングを導入した「東海バネ工業」のサイトをチェックしてみてください。バネに関する様々な情報が掲載してから、サイト経由の問い合わせを増加させた成功事例です。
このような記事は、バネ工場である自社にしかかけませんよね。
そして、ニッチがあるゆえに、ターゲットの心を動かしやすくファン化につながりやすい利点もあります。
コンテンツマーケティングはどのような業界でもチャレンジできます。
コンテンツマーケティングの手法・やり方
それでは、ここでコンテンツマーケティングの手法とやり方について解説します。
コンテンツマーケティングに使われるコンテンツはWEB上の記事だけではありません。時にはオフラインでセミナーやイベントも活用します。
コンテンツの種類を簡単に解説します。
以下の手法を複数併用し、製品を直接売り込まなくても認知してもらえる方法を考察します。ターゲット層がどのような生活を送り、何に困っているか分析して、適切なコンテンツを配信しましょう。
ブログ記事
商品・サービスに関連する情報を自社メディアで提供します。ビジネスブログやオウンドメディアは、コンテンツを蓄積できることから「ストック型コンテンツ」と呼ばれています。
ストック型コンテンツのメリットは、長期的な効果が見込めることです。
記事1つが独自のURLを持ち、サイトに蓄積されますから、記事が増えれば増えるほど、サイトの評価が上がります。
サイトへの集客に効果的で、制作コストが安いのもメリットです。BtoB、BtoC商材全般に向いていて、デメリットも特にありません。
ストック型コンテンツは、SEOにも向いていますし、SNSでの拡散も見込めます。
自社を見つけてもらう、製品やサービスを知ってもらうのに最適なコンテンツです。蓄積された記事は資産となり、ずっと働き続けます。
ユーザーの関心・困り事への解決法やノウハウを継続的に発信。他社製品との比較や差別化をはかるのに効果的です。
一度発信したコンテンツはサイト上に積み上がるため、長期的な効果を見込めます。
SNS投稿
Facebook、Instagram、TwitterなどのSNSへ投稿。
ターゲットユーザーに刺さるハッシュタグを使うことで自社製品を知らない非認知層へのアプローチ。市場が広がりバズると、大きな集客を見込める。インフルエンサーとコラボすることで、拡散を狙うこともできる。
事例・体験記事(サクセスストーリー)
成功・失敗事例、体験談、サクセスストーリーを配信。
誰かの成功体験や失敗体験は、独自性に溢れ、同じ悩みを持った人から共感が得やすい。
また、共感が信頼となり、自社へのイメージアップにつながる。
動画・オンラインセミナー・YOUTUBU
動画コンテンツは、ここ数年多くの企業が使っているマーケティングツールです。
アメリカでは、約7割以上の企業が使ってコンテンツマーケティングに動画コンテンツを活用していると言います。
最近は、アプリも充実し安価で簡単に動画制作が可能となりました。通信回線も高速化されていますので、スマホやタブレット1台で撮影、編集できます。
YouTubeやインスタライブなどを使って、動画配信も手軽にできます。
最近では特に、着こなしや商品の質感を伝えるためのツールとして、インスタライブを活用するアパレル企業が急速に増えています。視聴者の質問にリアルタイムで答えるなどが定番化し、ユーザー参加型でコミュニケーションを取る方法が人気です。
動画は視覚と聴覚を刺激して伝えられますので、視聴者の理解度も高くなるという調査結果も出ています。
何かをしながら耳で情報を得たいユーザーも多いため、短時間で多くの情報を得られる動画コンテンツはメリットが大きいです。SNSで拡散されやすいといったメリットもあります。
ホワイトペーパー
BtoB企業でよく使う手法。業界の動向、市場調査、ノウハウなどをPDFで提供。ダウンロードの際に個人情報を入手できる利点がある。
外部からの寄稿
著名人や有名ブロガー、専門家に寄稿してもらうことで話題になる。SNSでも拡散されやすく信頼感や権威性が増す。
コンテンツマーケティングの流れ・手順
それでは最後に、コンテンツマーケティングの流れと手順をサクッと解説します。
オウンドメディアの目的を決める
コンテンツマーケティングを導入する際には、目的を決めておきましょう。目的やゴールを定めておかないと、制作するコンテンツにブレが生じます。
- ブランディングのため
- 新規・見込み客の獲得
- 専門家として信頼を得る
- 顧客のロイヤリティを高める
発信するコンテンツも、記事ごとに目的や狙いを定めて実施しましょう。
ペルソナの設定
次に、ペルソナの設定をします。ペルソナとは、ターゲットとするユーザーを深堀し特定の人物像を絞り込むことです。
年齢、性別、家族構成、居住地、職業、収入、悩み事、趣味、興味のあることなど、コンテンツマーケティングを通して、誰に届けないのかターゲットを明確にしていきます。
ペルソナが決まれば、ターゲットの気持ちをより深く理解でき、心に刺さるコンテンツを作れるようになります。
例えば、
- ターゲット 20代 会社員 アウトドアが好き
「山下賢治 27歳 地方出身、都内在住、大学で上京、ワンルーム住まい 通勤で〇〇線を使う 趣味は海釣り、彼女と別れて6ヶ月そろそろ出会いが欲しいので、密かにマッチングアプリをいくつか検討中。日々の食事はもっぱらコンビニかすき屋で、料理は一切しない。Facebookとlineをよく使用する」
- ターゲット 20代〜30代主婦 子供あり 料理好き
「田中玲子 35歳 既婚、福岡在住2年 3歳と5歳の娘と転勤族の旦那37歳と4人暮らし 家は8万円の賃貸 週4でスーパーのパート ワンオペ育児に悩む日々 料理は好きだが平日は忙しく時短で済ませたい。インスタやクックパッドでレシピを探しては保存する日々。メインで使用するアプリはInstagramとline。毎月買う雑誌はオレンジページ」
ターゲットはざっくりとしていますが、ペルソナでは、1人の人物像になるまで絞っていきます。ペルソナのニーズに合わせたコンテンツを読んだユーザーは「自分のための記事だ」「まさに探していた情報だ」と共感し、信頼度が高まります。
価値のあるコンテンツでファンを獲得(認知)
ペルソナを設定したら、いよいよコンテンツ制作です。ユーザー目線で、ユーザーが求める情報を提供していきます。ペルソナがどのような情報に興味があるのか、検索ボリュームや関連するワードをチェックしましょう。
キーワードを見ながら、自社の商品やサービスに関連する、ユーザーが知りたい情報を選定します。
- 業界の最新情報やノウハウ
- 体験談や使用方法
- 専門家による寄稿
- 他社製品との比較記事
- サービスの導入例
顧客からの質問や回答をそのまま記事にする手もあります。
同じような悩みを抱えている読者がわざわざ問い合わせする手間が省け、役立つコンテンツです。
ターゲットが使う言葉を使用する
ユーザーから見つけてもらいやすくするために、ターゲットがどのような生活を送り、どのような言葉を使って検索しているかを考えましょう。
例えば就活で悩む学生の場合、「不合格通知」より「お祈りメール」で検索する人が一定数います。また、「学業で頑張ったこと・力を入れたこと」などの例文を掲載する記事の場合は、「ガクチカ」という言葉を使ったほうが、よりターゲットに近くなるでしょう。
コンテンツ制作にはこのように、押さえておくべきポイントがいくつもありコツをつかむまではとても大変な作業です。自社でのコンテンツ作成に自信がない方は、記事作成代行会社に依頼して高品質な記事を作成してもらうのもおすすめです。
価値あるコンテンツ制作は記事制作会社へ依頼する方法もある
コンテンツマーケティングで重要なのは、価値のあるコンテンツ(記事)の作成です。記事の中で、目的なメッセージを読者に伝える必要があります。
しかし、多くの企業が「記事を書く時間とスタッフがいない」「記事の書き方がわからない」「書いたけど全然効果がない」と頭を悩ませています。
このような場合は、コンテンツを外注する方法が効果的です。
コンテンツマーケティングに長けた記事制作会社に依頼することで、価値のあるコンテンツが自動で自社のメディアに投稿されます。
記事制作に割く時間や社員の手間を、メインの業務に集中できますので、コンテンツマーケティングの手法の1つとして主流になりつつあります。
例えば、コンテンツマーケティングの代行業者ハピスキは、400万PVオウンドメディアの総編集長や金融系ブログで150万PVを達成したアフィリエイターなどが在籍するSEOのプロ集団です。
このような会社にコンテンツ制作を依頼すれば、コンテンツマーケティングの効果も加速します。
まとめ
コンテンツマーケティングは、新規顧客を獲得するために欠かせない手法です。
価値あるコンテンツを制作し積み上げていけば、サイトの評価も上がり、検索流入も期待できるでしょう。ユーザーが共感できるような記事は、SNSで拡散されやすく、バズる可能性も大。高い広告をかけるよりも長期的な効果が期待できます。
コンテンツマーケティングを成功させるには、持続力が最も大切で有益なコンテンツをコツコツ発信していく必要があります。
記事作成やキーワード選定、SNSアカウントの運用、ホワイトペーパー作成提供など、メディア運営には多くの労力と手間がかかるのも事実です。
もし自社で制作することが難しい場合は、コンテンツマーケティング代行会社を利用しましょう。
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