診療報酬債権ファクタリングの仕組み!譲渡禁止は本当?市場規模や介護報酬との違いも解説

診療報酬債権ファクタリングの仕組み!譲渡禁止は本当?市場規模や介護報酬との違いも解説

「診療報酬債権ファクタリングってなに?」

「利用するメリットとデメリットを知りたい!」

診療報酬債権ファクタリングの利用を検討するうえで、このような疑問を持つ経営者の方もいるのではないでしょうか。

診療報酬債権ファクタリングは、保険料で後払いされる医療費を前倒しで受け取れるため、資金繰り解消の手段として注目されています。

本記事では、診療報酬債権ファクタリングの仕組みや特徴を解説するので、医療機関を経営している方はぜひ参考にしてみてください。

診療報酬債権ファクタリングの仕組みとは?譲渡禁止の噂は本当?

診療報酬債権ファクタリングとは、ファクタリング会社に診療報酬債権を買い取ってもらい、資金を調達する方法です。

診療報酬債権は、医療機関が患者を診察・治療して発生した報酬を、後日受け取る権利を指します。

診療報酬債権ファクタリングの仕組みを詳しく解説する前に、まずは医療機関が報酬を受け取るまでの流れを確認しておきましょう。

まず、前提として、医療機関の窓口で受診者が支払う自己負担金はごく一部であり、残りは国が負担します。

たとえば、6歳〜70歳未満の人であれば、窓口で負担する額は総医療費の内3割のみです。

残りの7割は「社会保険診療報酬支払基金」または「国民健康保険団体連合会」の負担分となるので、窓口では一部の金額しか支払われません。

後日請求を受けた国の支払機関は審査を実施し、7割の報酬が医療機関にまとめて支払われる流れです。

通常、医療機関が支払機関からの診療報酬を受け取れるのは、診療日より約2〜3か月後になるので、その間に資金繰りが悪化する場合があります。

そこで資金繰り改善の手立てとして注目されているのが、診療報酬債権ファクタリングです。

診療報酬債権ファクタリングを利用すると、後払いの診療報酬を前倒しで受け取れるため、資金繰りの悪化を防げます。

診療報酬債権ファクタリングの手順は次の通りです。

  1. 利用者とファクタリング業者間で債権譲渡契約の締結を行う
  2. 利用者とファクタリング業者の連名で支払機関へ契約締結を通知する
  3. ファクタリング業者から利用者へ診療報酬額の8割が入金される
  4. 支払機関の審査が行われ、診療報酬額が確定する
  5. 残り2割の診療報酬額から手数料を差し引いた額が入金される

1回目の入金時には診療報酬額が確定していないため、一部が入金され、確定後に残りの金額が入金される仕組みとなっています。

2回に分けて入金される点が通常のファクタリングと異なりますので、違いをよく確認しておきましょう。

なお、診療報酬債権が譲渡禁止であるとの噂は誤りで、実際のところ譲渡は可能です。債権の譲渡は法的にも認められており、民法第466条では以下のように記載されています。

「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」

引用:民法|e-Gov法令検索

このように、診療報酬債権の譲渡には違法性がないので、診療報酬債権ファクタリングは安全な資金繰り対策といえるでしょう。

診療報酬債権ファクタリングの市場規模

診療報酬債権ファクタリングの市場規模は、下表の通り年々増加しており、身近な資金調達の手段として活用されています。

年度医療機関数支払金額
令和2年度7,042500億7,971万円
令和3年度7,571553億3,157万円
令和4年度8,021566億5,075万円

※引用:社会保険診療報酬支払基金、令和4年度診療報酬等債権譲渡・差押等処理状況

令和2年度から令和4年度の間に、医療機関数は約1,000件、支払金額は約66億円増加しました。

増加した要因の一つとして、2020年の債権法改正が挙げられます。法改正以降、確定していない債権でも譲渡可能になり、取引の利便性が大幅に向上したといえるでしょう。

通常、診療報酬が確定するまでには2~3か月ほどの期間が必要です。

しかし、ファクタリングを利用すれば診療報酬額の確定を待たずに債権譲渡が可能なため、報酬額を前倒しで受け取れるようになりました。

債権の大元が国の支払機関であるため、ファクタリング業者にとっても返済金が未回収になるリスクがなく、メリットの多い取引です。

加えて、行政がファクタリングの利用を推進している点も相まって、積極的に活用する医療機関が増加傾向にあります。

これらの背景を考慮すると、今後も診療報酬債権ファクタリングの市場拡大が見込まれるでしょう。

診療報酬ファクタリングと介護報酬ファクタリングとの違いは?

診療報酬債権ファクタリングと似たものに、介護報酬ファクタリングがあります。介護報酬ファクタリングとは、介護サービスを提供する事業者向けのファクタリングです。

介護報酬の債権を利用してファクタリングを行い、資金調達を早急に実現させる方法で、基本的な仕組みは診療報酬債権ファクタリングと変わりません。

介護報酬ファクタリングと診療報酬債権ファクタリングをひとくくりにして、医療ファクタリングと称される場合もあります。

診療報酬債権ファクタリングを行うメリット

診療報酬債権ファクタリングを利用するメリットは、次の通りです。

  • 手数料が安い
  • 入金サイトを短縮できる
  • 借入が難しくても利用できる

診療報酬債権ファクタリングを利用すると円滑な資金繰りを図れるため、詳細を確認してみてください。

手数料が安い

診療報酬債権ファクタリングは、低い手数料で利用できます。ファクタリングの取引には2社間と3社間があり、診療報酬債権ファクタリングは手数料の低い3社間取引だからです。

一般的なファクタリングの場合、取引に売掛先が加わると債権の確実性が明確になり、ファクタリング業者の資金の未回収リスクが低減されます。

そのため、売掛先を含めない2社間ファクタリングより低手数料での取引が可能です。

診療報酬債権ファクタリングも国の支払機関を含めた取引となるので、未回収リスクがない分、3社間取引と同等か、それ以下の手数料で利用できます。

3社間ファクタリングの手数料相場は約1%~10%となっており、2社間の5〜12%と比較してリーズナブルです。

入金サイトを短縮できる

診療報酬債権ファクタリングを利用すると、入金サイトの短縮が可能です。ファクタリング業者に診療報酬債権を買い取ってもらえば、本来の入金日よりも前倒しで資金を受け取れます。

通常は、診察・治療から報酬の支払いまでに2〜3か月の期間を要し、入金サイトが長期化しやすい傾向にあります。

しかし、診療報酬債権ファクタリングを利用すると、長期の入金サイトを1〜2か月短縮することが可能です。

調達した資金の用途を問われる心配もないので、設備購入や運転資金などに自由に活用できます。

借入が難しくても利用できる

診療報酬債権ファクタリングは、銀行での借入が難しくても利用できます。なぜなら、診療報酬債権ファクタリングと銀行では、審査の基準が異なるからです。

銀行の審査では、今までの事業実績や決算書、現在の状況、希望融資額が重視されます。

一方で、診療報酬債権ファクタリングの審査で重視されるのは、債権の確実性や取引先の信用力です。

利用者の信用性も審査対象になるものの、より重視されるのは取引先の信用力ですから、銀行での借入が難しくても利用できる可能性があります。

国が運営している支払機関は倒産や診療報酬の未回収リスクがないので、ファクタリング業者から買取を断られるケースはまずないでしょう。

診療報酬債権ファクタリングを行うデメリット

診療報酬債権ファクタリングにはデメリットもあります。

  • 依存してしまう可能性がある
  • 手数料がかかる

メリットと合わせて理解し、上手にファクタリングを活用しましょう。

依存してしまう可能性がある

診療報酬債権ファクタリングに頼りすぎると利用が常態化し、依存してしまう恐れがあるでしょう。

というのも、診療報酬債権ファクタリングを利用する回数が増えるほど、本来の入金サイトに戻しにくくなるからです。

診療報酬債権ファクタリングを利用すると、ファクタリング業者から即時資金を受け取れるので、本来の入金日が前倒しになります。

一度入金日を前倒しにしてしまうと、次の入金日までの期間がさらに長くなるので、再度ファクタリングに頼らざるを得なくなるかもしれません。

診療報酬債権ファクタリングを利用する際には、依存しないよう入念な資金計画を立てておくようにしてください。

手数料がかかる

診療報酬債権ファクタリングは、診療報酬の額に応じた手数料を支払わなければなりません。

ファクタリング業者は利用者が支払う手数料を収入源として事業を行っているため、利用する際にはどうしてもコストが発生してしまいます。

とはいえ、診療報酬債権ファクタリングは一般的なファクタリングと比べて低手数料で利用できるので、メリットのほうが大きいでしょう。

診療報酬債権ファクタリングのおすすめ業者3選

診療報酬債権ファクタリングに対応している3つのおすすめ業者を紹介します。

  • ビートレーディング
  • アクセルファクター
  • トップマネジメント

どの業者も診療報酬債権ファクタリングの取引実績が多数あり、信用性が高いので安心です。

ビートレーディング

出典:ビートレーディング

「ビートレーディング」は創業10年を超えており、業界では老舗の業者です。全国各地に店舗を構えているため、身近な場所で利用できます。

また、ビートレーディングの診療報酬債権ファクタリングでは、契約から最短翌日で資金化が可能。

本来、支払機関からの入金は2~3か月後なので、ビートレーディングで診療報酬債権を買い取ってもらえば大幅に支払いサイトを短縮できます。

売上が思うように上がらないときや想定外の支出があった際に重宝するでしょう。

手数料2%〜
入金までの期間最短翌日
利用可能額制限なし
申し込み方法電話、オンライン、対面

ビートレーディングの詳細はこちらから

アクセルファクター

出典:アクセルファクター

「アクセルファクター」は、幅広いファクタリングサービスを展開している業者です。

柔軟性のある審査を実施し、利用者目線を第一に考えています。審査通過率は93%と高い水準を誇っているので、初めてファクタリングを利用する方も申し込みやすいでしょう。

アクセルファクターでも診療報酬債権ファクタリングを取り扱っており、多数の買取実績から安心して利用できます。

信頼性を大切にしている業者ですから、親身な対応が期待できるでしょう。気になった方は気軽に相談してみてください。

手数料2%〜
入金までの期間最短2日
利用可能額〜1億円
申し込み方法電話、オンライン

アクセルファクターの詳細はこちらから

トップマネジメント

出典:トップマネジメント

「トップマネジメント」は、債権の総買取件数55,000件超えの実績を持つ大手ファクタリング業者です。

電話やFAX、メール、Webのなかから希望の方法で申し込めて、チャット形式で無料相談にも応じてもらえます。

診療報酬債権ファクタリングは3社間での取引となるため、利用実績に応じて手数料を最大0.3%まで引き下げられる点も大きな魅力です。

公式サイトでは対応スタッフの顔が確認できるので、業者の雰囲気を知りたい方はぜひ確認してみてください。

手数料2%〜
入金までの期間最短即日
利用可能額30万円~3億円
申し込み方法電話、メール、対面、オンライン

トップマネジメントの詳細はこちらから

診療報酬債権ファクタリングの利用に適した医療機関の特徴

診療報酬債権ファクタリングの利用に適した医療機関は、以下の通りです。

  • 資金繰りに支障をきたしている
  • 開業したてで資金が手元にない
  • 銀行融資を利用できない

資金調達が必要で当てはまる項目がある場合は、診療報酬債権ファクタリングの利用を検討してみましょう。

資金繰りに支障をきたしている

診療報酬債権ファクタリングが適しているのは、すでに資金繰りに支障をきたしている医療機関です。

早急に資金を調達しなければ廃業を余儀なくされる事態に陥る可能性があるので、至急対応しなければなりません。

すでに資金繰りが困難で、今すぐに資金が必要な場合は、診療報酬債権ファクタリングの利用を検討してみてください。

開業したてで資金が手元にない

開業したてで手元に資金がない医療従事者の方は、診療報酬債権ファクタリングの利用が適しています。

開業直後で患者が定着していない診療所は、思うように収益が得られず、資金不足になりやすい傾向にあるためです。

支払機関から診療報酬が入金されるまでの間、つなぎ資金としてファクタリングを用いるとよいでしょう。

支払機関から得られる資金を前倒しで受け取れば、資金不足に悩まされる心配がありません

銀行融資を利用できない

銀行から融資を受けられない医療機関は、審査通過の可能性が高い診療報酬債権ファクタリングを利用してみましょう。

通常、ファクタリングの審査では債権の確実性が重要視されます。

診療報酬債権ファクタリングでは国の債権を取引材料とするので、業者にとっては確実性の高い好条件な取引といえるでしょう。

そのため、買取に応じてもらえる可能性が高く、銀行融資に頼らずとも資金調達が可能です。

まとめ

診療報酬債権ファクタリングを利用する際には、診療報酬債権ファクタリングの仕組みやメリット・デメリットを押さえておきましょう。

診療報酬債権ファクタリングでは、早急な資金化が可能な反面、依存してしまう可能性もあるため、計画的に利用しなければなりません。

経営している医療機関に資金繰りの悩みがある方は、今回おすすめしたファクタリング業者を参考にしてみてください。

ファクタリングカテゴリの最新記事