「診療報酬ファクタリングでは債権の譲渡禁止って本当?」
「診療報酬ファクタリングの市場規模はどうなってる?」
資金繰り対策を検討中でも、このような疑問からファクタリングの利用に踏み切れない医療関係者の方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、診療報酬ファクタリングにおける債権の譲渡は法律上で認められており、何も問題はありません。
そこで今回は、診療報酬ファクタリングの仕組みや債権譲渡が合法である理由、資金調達手段としての市場規模を詳しく解説します。
診療報酬ファクタリングについての知識を深めたい方や、今後利用を検討している医療関係者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
診療報酬ファクタリングの仕組みとは?債権の譲渡禁止は本当?
診療報酬ファクタリングは、支払日が先の診療報酬を前倒しで資金化するための手段です。
仕組みを解説するにあたり、まずは健康保険(社会保険)と診療報酬の関係性について理解しておきましょう。
日本は「国民皆保険制度」を導入しており、日本国籍を持つ人全員が健康保険(社会保険)に加入しています。
そのため、医療機関の窓口では医療費を全額自己負担せずとも、以下のように年齢に応じて何割かは保険で補っているのです。
- 70歳未満:保険7割(自己負担3割)
- 6歳未満または70歳以上:保険8割(自己負担2割)
- 75才以上:保険9割(自己負担1割)
保険によって支払われた医療費はその場で現金化されず、2ヶ月ほど経ってから医療機関に支払われます。
しかし、医療費の7割以上は保険で支払われるため、医療機関は診療報酬が支払われるまでの間、本来の収益を全額受け取れません。
そこで、資金繰り改善に有効な手段が診療報酬ファクタリングです。
診療報酬ファクタリングでは、ファクタリング業者・利用者(医療機関)・保険者(健康保険・社会保険の主体運営者)の3社間で取引が行われます。
手順は次の通りです。
- 利用者が診療報酬債権(保険者からお金を受け取る権利)をファクタリング業者に買取ってもらう
- ファクタリング業者は手数料を差し引いた金額を利用者に支払う
- 保険者に診療報酬債権をファクタリング業者に譲渡した旨を通知する
- 支払い期日に保険者からファクタリング業者に診療報酬が支払われる
診療報酬ファクタリングを利用すると、利用者である医療機関は資金化までの期間を繰上げられます。
資金不足に陥る心配がなく、必要な備品や設備の購入などに資金を充当することが可能です。
また、一部のネットユーザーの間で債権の譲渡は禁じられているといった意見が見られますが、事実ではありません。
実際、債権の譲渡は民法第466条によって正式に認められています。
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
引用:民法|e-Gov法令検索
診療報酬ファクタリングで債権を譲渡したとしても、利用者が罪に問われる可能性はないので安心してください。
診療報酬ファクタリングの市場規模や今後の動向
診療報酬ファクタリングの市場規模は、年々増加傾向にあるといえるでしょう。
「社会保険診療報酬支払基金」の情報によると、診療報酬ファクタリング(債権譲渡)の利用状況は、過去3年で以下のように推移しています。
出典:令和4年度診療報酬等債権譲渡・差押等処理状況|社会保険診療報酬支払基金
ご覧の通り、受理状況が年々高くなっており、医療業界でもファクタリングが資金調達の身近な手段になってきているのです。
日本では今後ますます少子高齢化が進み、それに伴い診療報酬の支払額の増加が予想されます。現状を加味すると、医療機関の資金不足がより深刻化するでしょう。
ファクタリングは入金日より前倒しで資金を得られるため、資金繰り改善の手立てとして有効です。
医療機関においても、診療報酬ファクタリングがより広く浸透していくと予想されます。
診療報酬ファクタリングが医療機関におすすめな理由
医療機関に診療報酬ファクタリングがおすすめな理由は、以下の点にあります。
- 手数料が低い
- 資金不足を回避できる
- 返済時の手間がかからない
診療報酬ファクタリングを利用すると、保険者からの入金サイトに関わらず、安定した経営状況を保ちやすくなるでしょう。
手数料が低い
診療報酬ファクタリングでは、手数料を低く抑えられます。なぜなら、診療報酬ファクタリングは3社間取引になるためです。
ファクタリングの取引方法は、おもに2社間・3社間の2種類。3社間は2社間での取引よりも手数料が低く設定されています。
というのも、2社間ファクタリングは利用者とファクタリング業者間での契約となるため、信用性の根拠が薄くなるからです。
その点、3社間ファクタリングは利用者とファクタリング業者に加えて、保険者も取引に加わるので、信用性が高くなります。
2社間取引での手数料相場が5〜12%だとすれば、3社間取引である診療報酬ファクタリングは1~10%の手数料で利用可能です。
資金不足を回避できる
診療報酬ファクタリングをうまく活用すれば、入金日を待たずに資金を前倒しで受け取れるため、資金不足を回避できます。
保険者から診療報酬が支払われるのは、実際の診察日より2ヶ月以降先になります。そのため、入金日までに支出と収入のバランスが崩れてしまいがちです。
診療報酬ファクタリングを利用すると収支のバランスを一定に保てるので、業務を円滑に進められます。
返済時の手間がかからない
診療報酬ファクタリングは3社間取引なので、2社間取引のように返済の手間がかかりません。本来の入金期日には、保険者からファクタリング業者に直接支払いが行われるためです。
2社間取引の場合、入金期日に利用者の元にお金が振り込まれるため、利用者がファクタリング業者に返済する必要があります。
しかし、診療報酬ファクタリングであれば、業者から資金を受け取った後は返済にかかる手間を省けます。
診療報酬ファクタリングを利用する際の注意点
診療報酬ファクタリングは利便性に優れている一方、注意が必要な面もあります。利用する際には、以下の点もよく理解したうえで検討してみてください。
- 2社間ファクタリングより手続きに時間がかかる
- 本来の入金期日より受け取れるお金が少なくなる
- 利用できるファクタリング業者が限られる
2社間ファクタリングより手続きに時間がかかる
診療報酬ファクタリングは、2社間取引よりも資金化までの手続きに時間を要します。
というのも、診療報酬ファクタリングでは、支払い義務のある保険者に債権譲渡(お金を受け取る権利を譲った旨)の通知が必要になるためです。
2社間の場合は、利用者とファクタリング業者のみで手続きが完結するため、支払い義務のある会社に通知する必要はありません。
しかし、診療報酬ファクタリングでは、保険者に債権譲渡を知られたとしても、利用者の評価が悪くなるリスクはありません。
入金サイトが長くなりがちな事業者にとって、繰り返し利用しやすい資金調達方法といえるでしょう。
本来の入金期日より受け取れるお金が少なくなる
本来の入金期日より、受け取れるお金が少なくなる点にも注意が必要です。前述でもお伝えした通り、ファクタリングは手数料が発生します。
診療報酬ファクタリングは2社間ファクタリングより手数料が低めとはいえ、本来の診療報酬から手数料分が差し引かれるのは変わりありません。
差し引かれる金額が大きくなれば、損をしたと感じてしまうでしょう。
しかし、手数料の低い業者を選び、ファクタリング契約を結ぶ前に見積もりを出しておけば、想定外の事態を防げます。
利用できるファクタリング業者が限られる
ファクタリング業者によっては、診療報酬債権の買取りを行っていない場合があります。
というのも、診療報酬は支払いサイトが長く、通常ひと月単位で入金される売掛金と扱い方が異なるためです。
買取りに対応していない業者に申し込んだとしても、利用を断られてしまうでしょう。
公式サイトで診療報酬の取扱可否を事前に確認しておけば、利用できる業者を効率的に絞り込めます。
診療報酬ファクタリングのおすすめ業者3選
診療報酬ファクタリングに対応しているおすすめ業者は、以下の3社です。
- ビートレーディング
- アクセルファクター
- トップマネジメント
上記の3社は診療報酬ファクタリングの実績が多く、即日での資金化にも対応可能です。
また、オンライン完結で利用できるので、多忙な事業者の方でも申し込みやすいでしょう。
ビートレーディング
出典:ビートレーディング
「ビートレーディング」は診療報酬ファクタリングだけでなく、介護報酬・調剤報酬ファクタリングにも対応しています。
資金化までの所要時間が最短2時間なので、申し込みから入金までがスムーズです。
診療報酬ファクタリングは公的機関との3社間ファクタリングであるため、低手数料で利用できるのも嬉しいポイント。
事業所のキャッシュフロー改善に素早く対応でき、いざという時にも安心です。
手元にどれくらいの資金が残るのか気になる方は、LINEの公式アカウントから無料見積もりを依頼してみてください。
資金化までの所要時間 | 最短2時間 |
ファクタリング形式 | 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング |
手数料 | 2社間ファクタリング:4%~12% 3社間ファクタリング:2%~9% |
利用限度額 | 3万円~7億円 |
利用対象者 | 法人・個人事業主 |
アクセルファクター
出典:アクセルファクター
「アクセルファクター」は、医療や介護系の事業にも積極的にファクタリングサービスを提供している業者です。
最長180日までの債権買取りに対応していますから、支払期日が2ヶ月以上先になる診療報酬でも問題なく利用できます。
経営状況を一時的に改善するためのつなぎ資金だけでなく、改装や医療機器の導入にも利用できる高額なファクタリングも可能です。
早期割引を活用すると、60日前の申し込みで手数料が2%割引されるので、診療報酬ファクタリングの利用にも適しています。
資金化までの所要時間 | 最短3時間 |
ファクタリング形式 | 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング |
手数料 | 30~100万円:10%~ 101~500万円:5%~ 501~1,000万円:2% 1,001万円以上:要相談 |
利用限度額 | 〜1億円 |
利用対象者 | 法人・個人事業主 |
トップマネジメント
出典:トップマネジメント
「トップマネジメント」は、取引実績55,000件を超える大手のファクタリング業者です。
資金化を急ぎたい方でも最短3時間で入金されるので、設備の故障で急な支出が発生したときなど、不測の事態にも対応しやすいでしょう。
利用実績に応じて最大3億円までの買取りに対応しているため、キャッシュフローの改善だけでなく幅広い目的で利用できます。
資金繰りに関する豊富な知識を持ったスタッフが、利用者一人ひとりに親身に対応してくれますから、相談力を重視する方におすすめです。
資金化までの所要時間 | 最短3時間 |
ファクタリング形式 | 2社間ファクタリング 2.5社間ファクタリング 3社間ファクタリング |
手数料 | 2社間ファクタリング:3.5%~12.5% 2.5社間ファクタリング:1.8%~8.0% 3社間ファクタリング:0.5%~3.5% |
利用限度額 | 30万円~3億円 |
利用対象者 | 法人・個人事業主 |
まとめ
診療報酬ファクタリングは、支払いまでに2ヶ月ほどの期間を要する診療報酬を、繰り上げて資金化するための手段です。
医療機関にとって今後さらに身近になると予想される資金調達方法ですが、対応しているファクタリング業者は現状では限られています。
気になる業者が見つかった際には、まず公式サイトで診療報酬を買取ってくれるかどうかをチェックしてみてください。
業者選びが難しい場合は、前項で紹介した業者のなかから検討してみるとよいでしょう。
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