IT業界と言われても、パソコンを使って仕事をする程度しかイメージが沸かない人もいるでしょう。
IT業界は様々な業界で構成されており、職種によって業務内容も大きく変わります。IT業界は人手不足から未経験者も多く募っています。しかし、未経験者だとIT業界の構造や職種を理解していない故に仕事へのイメージと実際の業務内容に差があり、思っていたのと違ったと後悔することも。
そこで本記事では、IT業界の仕事にはどんなものがあるか、IT業界はどんな業界・職種で構成されているかについて解説していきます。
IT業界とは?意味をわかりやすく解説します
まずITとは、「Information Technology」の頭文字を取った言葉であり、日本語に訳すと「情報通信技術」という意味です。
IT業界とはインターネット技術を用いた仕事全般のことを言います。ゲーム業界や通信業界、インターネット・Web業界など様々な業界で構成されており、IT業界と言っても業務内容は業界によって大きく異なります。
IT業界はヒエラルキー構造になっている
IT業界は、建築業界のようにピラミッドのような構造になっています。発注元の会社が一次請けの会社にシステム開発を依頼し、一次請けの会社が二次請けの会社に依頼して、足りない分の人材の派遣を依頼し……というようなものです。
「IT土方」「システム土方」などといった言葉がインターネットを中心に知られるようになったのはこの構造も1つの理由であり、ピラミッドの下層へ行けば行くほど、マージンが大きくなり、同じ仕事でも所属する会社によって給料に大きな差が出ることが問題視されています。まだ三次請け程度なら良いもので、酷い現場だと六次請け、七次請けまでピラミッドの層が深くなっていることも。
特に情報処理業界はIT業界の中でもその傾向が強いです。一次請け、二次請けレベルの仕事を持ってこられない会社に所属してしまうと、簡単なコード修正やテスト業務など、スキルが身につかない仕事ばかりを任されてしまい、転職するにも実力が無い故に待遇の良い会社に転職できないという事態に陥ってしまうことがあります。
就職活動の際には、応募する会社がピラミッドのどれくらいの位置に属するレベルの会社なのかを入念に調べましょう。
IT業界の職種一覧
IT業界には様々な職種が存在します。代表的な3つの職種の仕事内容を見ていきましょう。
<h3>システムエンジニア</h3>
いわゆるSEと呼ばれるシステムエンジニアは、あまりプログラミングすることはなく、情報処理業界で開発物の設計やマネジメントをします。ただし、Web系業界においては「Webエンジニア」として設計からテストまでを行うのが一般的です。
システムエンジニアを目指すには、プログラマーとして経験を積んでからでないと難しいでしょう。中には、未経験OKのシステムエンジニアの求人も存在しますが、それはよほど人手不足で困っているか、企業の採用担当がシステムエンジニアの仕事内容を理解していないかのどちらかです。どちらにしろあまりおすすめできないので、応募は避けましょう。
プログラマー
システムエンジニアが作成した設計書をもとに、実際にプログラミング言語を用いてコードを書くのがプログラマーの仕事です。
プログラマーと言っても、所属する業界によって業務の範囲に差があります。例えばWeb業界なら、先述の通りWebエンジニアという括りで設計からテストまで一通りの業務を行いますし、情報処理業界なら、プログラミング業務がメインとなり、場合によってはテスト業務も任されます。
営業・ITコンサルタント
営業やITコンサルタントは取引先の課題を見つけ、その課題を解決できる自社の商品・サービスを提案します。営業のスキルに加えて、技術面での知識や自社商品に関する知識など幅広いスキルが必要です。
営業は一般的にIT企業に所属して営業活動を行います。それに対してITコンサルタントの場合はコンサルティングファームに所属し、企業の課題の洗い出しから提案に至るので、マーケティングなどの知識も求められることが多いです。
IT業界の業務内容を職種別に比較
これまで紹介した職種以外にも、IT業界には様々な仕事が存在します。それでは、職種別に業務内容や年収を比較してみましょう。
職種 | 仕事内容 | 年収 |
システムエンジニア | 開発するシステムの設計・マネジメント | 600〜800万円 |
プログラマー | 設計書をもとにしたコーディング | 250〜400万円 |
テスター | 開発物のバグを探す | 250〜300万円 |
営業 | 自社製品を売り込む | 400〜600万円 |
ITコンサルタント | 取引先企業の課題を洗い出して解決できる手段を提案する | 650〜1,100万円 |
Webエンジニア | ホームページ制作などを請け負う | 500〜700万円 |
Webデザイナー | ホームページなどのデザインを手掛ける | 500〜600万円 |
機械学習エンジニア | 人工知能を用いたソフトウェアなどを開発する | 500〜700万円 |
データサイエンティスト | データサイエンスを用いて大量のデータから企業の課題を洗い出す | 700〜1,100万円 |
インフラエンジニア | ネットワークを構築したり、インターネットが途切れなく使えるように監視したりする | 300〜1,000万円 |
組み込み系エンジニア | ロボットを動かすためのプログラムを組む | 400〜600万円 |
IT業界の種類
先述の通り、IT業界は様々な業界で構成されています。業界によって取り扱うものや役割も大きく異なるので見ていきましょう。
ハードウェア業界
ハードウェアとは、パソコンそのものやマウス・キーボードなどの周辺機器、ゲーム機やスマートフォンなど機械そのもののことを言います。ハードウェア業界で働くエンジニアは組み込み系エンジニアであり、プログラミングに加えて電子回路に関する知識も求められます。
ソフトウェア業界
ハードウェアにインストールして使用するのがソフトウェアです。WindowsやMacなどのOSはもちろん、パソコンにインストールして使うデータの変換ソフトなどもソフトウェアに含まれます。また、スマホアプリもソフトウェアの一種です。
ソフトウェア業界では、プログラミング技術を用いてクライアントが抱える問題を解決できるソフトウェアを開発します。
インターネット・Web業界
インターネット・Web業界では、クライアントから依頼を受けてWebサービスやホームページを制作したり、自社でサービスを運用したりします。IT業界と言われるとオシャレなオフィスやリモートワーク、フレックスタイム制をイメージする人は多いのではないでしょうか。特にこの働き方を導入している企業が多いのがインターネット・Web業界です。
しかし、開発はもちろん、インフラ周りも自分たちで行うのが基本であり、幅広い技術が求められるので未経験者の募集はあまりありません。
通信業界
インフラエンジニアが所属するのが通信業界です。私達が日頃インターネットを途切れることなく利用できているのは、インフラエンジニアが24時間インターネットを監視しているおかげでしょう。そして通信障害が発生した際に対処するのもインフラエンジニアの役割であり、世界中の人の生活を支えている仕事と言えます。
情報処理業界
情報処理業界に所属する会社はSIer(システムインテグレータ)やSES(システムエンジニアリングサービス)とも呼ばれています。
SIerの仕事は取引先から開発の仕事を請け負い、下請け企業と協力して納品することです。
情報処理業界で取り扱うのは、官公庁や保険会社など大規模なシステムが大半。それ故に大量の人手が必要となり、未経験者の募集が多いのも情報処理業界の特徴です。そのため、情報処理業界で経験を積んで他の業界に転職するエンジニアも多数います。
まとめ
気になる職種の仕事内容を調べ、自分が得意とすることなどを洗い出したうえで、自分に合った職業を選んでください。
IT業界の仕事は幅広く、職種や業界によって業務内容やキャリアルートにもかなりの違いがあります。そのため、将来的にプログラミングを続けたい、マネジメントに進みたいなどよく考えて目指す職種を決める必要があるでしょう。
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